DC-10の呪いについて

 B737MAXのMCASに起因する事故発生以来Boeing社の業績に陰りが出てとうとう政府支援を求める状況に至っている。無論武官肺炎支那コロナウィルスの影響は航空業界のみならず世界に支那発の害悪をバラ撒いているしそれも大きいのだろうが経営危機は支那コロナウィルス不況の前から取り沙汰されていた事だから何でも支那コロナウィルスのせいとばかりは言い切れない(トドメにはなったと思うが)。Boeing社はMD社買収後官需はF22の下請け、X32の敗退、C17の生産終了、KC46の予想外の開発トラブルとさっぱりでT-7受注が明るい話題だが機体の一部はSaabに外注する筈だから量産迄には伏兵が少なからず居そうな予感。反面民需はMD社のDC-9をB717として少数機製造した後はBoeing純血種に集約してAirbusに対抗しつつ堅調なビジネスと思いきや先のB737MAX事故でじわじわ危機的状況を迎えている。このB737MAXの事故原因はMCASの有るとされてきたがCFM56→LEAP1Aにエンジン換装した際の空力的影響を過小に見積もりソフトウェア制御でどうにかなると見込んで実態はどうにもならなくなって今に至る(と勝手に想像している)。民間機の王者Boeingが純技術的にこのような問題で苦戦するのは考えずらく技術的以外の要因、つまりは政治経済的なそれが強く関与しているとの憶測も少なくない。具体的には(不完全な設計検証のまま)試作・開発フェーズに至り(これは通常の技術開発でも普通に有る話。特にハイリスクの航空業界をや、であるが)試作機評価で出てきた問題のフィードバックが充分では無かったとの内部告発が取りざたされる時点で(Boeing社内の)政治臭がプンプンしてくる。人の命を預かる事業、特に高い安全性が要求されそれが崩れると多数の死傷者を出す航空機産業で幾多繰り返されて来た歴史ではあるがMD社を吸収したBoeing社にとってはDC-10の呪いが再発したのではと不吉な予想をするのは悪趣味過ぎるだろうか。DC-10の貨物扉設計不具合に起因する墜落事故では空力・機構的な設計瑕疵であったがB737MAXではソフトウェア(と呼ばれているがそもそもエンジン配置含めた機体デザインの妥当性も話題にされている)という素人には見えにくい領域での問題と開発遅延やAirbusとの競争に遅れを取らない為の政治的圧力でエスカレーションが機能しなかったのではないかとの指摘もある。昨今のBoeingは創業時やB47,B52,B707(Model367-80)の頃のような荒削りだがリスクを恐れず技術開発に邁進し成功を得る企業風土は失われつつあって(某日本企業のサラリーマン経営者の如く)株主様の顔だけを見て新技術に挑戦する経営胆力も失われた「只の人の集まり」になりかけてはいないかと他山の石としても気になっている。大昔はSporty gameと称された航空機産業は今やリスクではなく安全・安定経営が基本となっているがB737MAXの如き「古い革袋に新しい酒」ではAirbus A32xに対抗するのは難しかったのではないか。それを無理して製品化して問題が発生すると手の打ちどころが無く(誰も問題解決出来ず、経営判断も出来ず)じわじわ状況が悪化した今があるのではないだろうか。今Boeing社にMD社民間機部門出身者が在籍しているかは知らぬがせめてDC-10の呪いは反芻しておくべきではなかったか。B787のインチキロールアウトとコスト最優先でサプライチェーンを世界中に外注したら品質納期問題多発で開発スケジュールが大幅に遅れキックオフカスタマーに恥を掻かせる羽目になった頃以来Boeing社はリスクを取らず既存のデザインを小細工で市場投入出来たら・・・という成長期のBoeing社のDNAとは真逆の官僚化に陥っているのであればご同情申し上げる。イノベーションを失った企業がどういう末路を辿るかは当事者が最も良く解っている筈なので。