ブルームバーグの記事、というかブルームバーグオーナのブルームバーグ氏のコラム。ワシントン・ポストを買い取ったベソス君とは年季も覚悟も段違いというか、これぞリベラルメディア(極左ではないよ)経営者だろうか:
以下引用:
Michael R Bloomberg
私は米副大統領としてのハリス氏を全ての点で支持するわけではないが、今週、大統領選挙の期日前投票で迷うことなく同氏に一票を投じた。その理由を説明したい。私のようにかつて両党の候補者を支持したことのある人々が、ハリス氏に投票することを願っている。
大統領選挙の候補者については主に2つの点で考えてきた。政策姿勢と人としての誠実さだ。
政策に関する同氏とトランプ氏の違いは、これ以上あり得ないほどに鮮明だ。
人工妊娠中絶に関して、ハリス氏は女性のリプロダクティブライツ(性と生殖に関する権利)を支持し、立法を目指して取り組んでいる。一方のトランプ氏はこの権利を支持していない。これからもそうしないだろう。
移民を巡るハリス氏の立場は大半の企業経営者と同じで、国境の安全を確保しつつ合法的に外国から米国に移住できるよう、包括的な移民制度改正が必要だと認識している。トランプ氏は米国で暮らし働く数百万人を強制送還する計画で、経済的な大惨事を約束している。
銃の安全性について、ハリス氏は命を救うため、犯罪者や危険人物に銃を保持させないための常識的な措置を支持。トランプ氏はいったんは銃メーカーのロビー団体に立ち向かうと勇ましいそぶりを見せたものの、結局は圧力に屈し言いなりになった。
経済に目を向けると、ハリス氏の税制および関税に関する提案は政治的な動機に基づいているが、消費者や企業、そして国家債務へのダメージはトランプ氏の政策に比べればはるかに小さいと多くのエコノミストが指摘している。
気候変動対策に関しては、中国など他国に先を越されるのではなく、クリーンエネルギーへのシフトを米国がリードすることで経済的な利益を得る機会があることを、ハリス氏は認識している。トランプ氏は気候変動が問題であること自体を信じない。化石燃料産業が地球の大気と水を汚染し続けることを容認する構えだ。
公衆衛生について、ハリス氏は命を救うワクチンを含め、科学と医学を尊重している。トランプ氏は米国の医療制度を反ワクチン派のロバート・ケネディ・ジュニア氏に任せると公約。子どもや高齢者のみならず、あらゆる年齢層の国民に致命的な結果をもたらしかねない。
公共の安全に関しては、ハリス氏には検察官として犯罪を厳しく追及し、警察と立場を共にしてきた経歴がある。トランプ氏はタフな物言いをするが、2021年1月6日に支持者らが暴徒化して警官を襲撃したとき、静観しているだけで何も行動を起こさなかった。それはすべて権力にしがみつこうとする恥ずべき試みだった。議事堂に突入し警官を襲った暴徒をトランプ氏は擁護し続け、「戦士」と称賛さえした。
もう一つのポイント、人としての誠実さを見ていきたい。
ペンス前副大統領をはじめ多くの共和党員が結論を出している。トランプ氏は高位の公職には不適格だ。2020年の選挙結果、すなわち国民の意思を拒絶し、強引に自分の勝利にしようとする前からそうだった。選挙結果を覆そうと州の議員や選挙当局者を脅し、それがうまく行かないと、今度は支持者を扇動して議事堂を攻撃させ、選挙結果認定の阻止を図った。
最も偉大な国、米国はトランプ氏によってバナナ共和国のような国におとしめられた。あのような恥ずべき状況を目撃することになるとは、大抵の米国人は思いもよらなかっただろう。これに関与し有罪判決を受けた人の一部は行いを悔い、謝罪した。しかしトランプ氏は謝罪どころか、議事堂襲撃を称賛している。
それはなぜか。同氏にとっては米国も憲法も民主主義も関係ないからだ。法規の順守や、警官を含む市民の命よりも、自分の虚栄心と栄光が大事なのだ。
真の指導者は名誉と責任感から敗北を受け入れる。トランプ氏にそのどちらもないことは、同氏の言動が示している。
移民について同氏が用いる下劣な表現は、ナチスが使った言葉を思い起こさせ、卑しいだけでなく危険でもある。
バージニア州シャーロッツビルで白人至上主義者たちがたいまつを手に行進した後、トランプ氏が彼らを擁護した恥ずべき言葉を思い出してほしい。
大統領としてのトランプ氏は外国の独裁者の機嫌を取り、同盟国同士の絆を弱め、米情報機関の活動を妨害した。議会の分断を放置し、苦言を呈する閣僚やスタッフを解雇した。いずれも同氏が人の上に立つ能力がないことを明らかにした。
そして米国についてトランプ氏が繰り返した真っ赤なうそ、つまり同氏が当選しなければこの国は終わるという虚言は、米国という国家が持つ真の力がどこから来るのか、同氏は何も分かっていないことを露呈する。米国の力は国民の価値観と原則、そして憲法による国民の権利保障がその源泉だ。
私はハリス氏をよくは知らない。過去に2度ほど話したことがあるだけだが、同氏の選挙運動には感心している。無党派層や共和党員に自分から積極的に接触し、米国の明るい姿を描いてみせることで、党派を越えて全ての有権者を奮い立たせている。ハリス氏は米国の前進を率いる決意であり、そのためには国民をもう一度一つにまとめることが唯一の方法だと分かっている。
私には覚悟がある。ほとんどの国民もそうだと思う。だからこそ政治的傾向にかかわらず、まだ投票先を決めていない有権者が私と一緒にカマラ・ハリス氏を大統領にすべく投票することを願う。
(マイケル・ブルームバーグ氏はブルームバーグ・ニュースの親会社ブルームバーグ・エル・ピーの創業者で、過半数株式を保有しています。このコラムの内容は同氏個人の見解です)
原題:Why I’m Voting Kamala Harris for President: Michael R. Bloomberg(抜粋)
引用おわり。
なんと言うか特に申し上げる事はございません:)