EETimesの記事より。
STの礎となった経営者を偲んでの記事(翻訳)。
欧州の半導体大手STMicroelectronicsを誕生させた功績を持つPasquale Pistorio氏が、イタリア・ミラノにおいて89歳で死去した。
伝説的なエンジニア兼経営者だった同氏は、イタリアの半導体メーカーSGSとフランスThomson-CSFの半導体部門を合併し、その後約20年間でこの合併企業を欧州の半導体大手メーカーに成長させたという実績で広く知られている。
また同氏は、半導体業界において、“生態学的に持続可能な製造”といった環境保護運動を最初に提唱したリーダーの1人でもあった。さらに、『デジタル格差』問題の解決にも強い関心を持ち、デジタル格差の克服に尽力する国連情報通信技術タスクフォース(United Nations Information and Communications Task Force)のメンバーも務めた。
これによるとMotoloraでキャリアを積み、STの創設に貢献した人物らしい。
無知な当方にとってはSGSトムソンの頃のSHプロセサのセカンドソースとMotorola M68000プロセサのセカンドソースの印象しか無く、STになってからはこれまたSTM32のイメージが強い、セカンドソース主体の印象でしたが、オリジナル(ARM CortexM3から始めて)のSTM32シリーズがヒットして充実したファミリとNXPの如き尖った(使いにくい)MCUではない汎用性と使いやすさを重視したオーソドックスなデザインのベンダと認識しておりました(STM32シリーズについての印象)。
「嘲笑さえ受けた」合併から事業再建、STの基盤を構築
1987年のSGS/Thomson-CSFの合併は当初、懐疑的に見られ、嘲笑さえも受けたが、これがPistorio氏の半導体業界のスターとしての偉業を特徴付けるものとなった。同氏は直ちに、SGS Thomsonと名付けた新会社の事業再建に着手し、例えば、7つの製造工場の閉鎖や、フランスのグルノーブルへの新工場を建設などを実行したという。
次にSGS Thomsonは、SoCやEPROMの他にも、スマートパワーやMPEG-2技術などの分野で大胆な賭けに出た。1989年には、Nokia向けに電源供給機能と電力管理機能を1つのデバイスに組み込んだ新型チップを生産している。これによりNokiaの携帯電話機は、スタンバイ時に60時間超の電池寿命を達成した。
さらにSGS Thomsonは、テレビ受像機で表示するためにデジタルビデオファイルを復号するMPEG技術で、リスクの高い賭けに出た。1993年に、Hughes Networkのデジタル衛星テレビサービスのSTB(セットトップボックス)向けにMPEGデコーダーチップを供給したことによって、STB/デジタルTVハードウェア市場でリーダーとなった。
Pistorio氏は1994年に、同社の株式を上場。そして1998年に、ThomsonがSGS Thomson株式を売却し、このタイミングで社名をSTMicroelectronicsに変更した。
そしてPistorio氏は2005年に、プレジデント兼CEOを退任する。同社の取締役会は、最終的にSTMicroelectronicsという企業になるための基盤を構築した同氏の功績に対し、名誉会長の称号を授与した。
引用おわり。
STの成長の礎になられた方の様です(無知でお恥ずかしいです)。
当方にとってSTMicroのデバイスといえばSTM32シリーズと(マイナではありますが)Progurammable System Device、通称PSD(距離センサではないよ:)でありました。元々はイスラエルのWSI社の技術をSTが買収したものですが、8031コアと統合してuPSDなるSoCの様なチップを提供したり他社では出来ない(FlashとPLDとSRAMとCPUコアを統合する技術・ポートフォリオを持ってないと知財で大変な目に会うので:)個性的なデバイスを製造しておりました(初期型は窓付きEPROM)↓
まあ、個人ブログというものは話者に都合の良い様に話を持って行く(というか曲げてくる)訳でしてどうかご容赦の程(すみません)。
STは日本企業で言えば当初は三菱かパワーの無い日立さん(失礼)な印象でしたが今ではオリジナルのSTM32マイコンの大成功とパワーデバイスもGaN含めて充実したラインナップを有し、車載等の組込システムにも強い欧州系のトップ企業に成長したのだから凄いものです。
そんな訳でSTMicroには個人的には親近感を持ってたりします(一応、Motorola系だし:)それと開発ツールもそこそこ使えて(某R社のIDEの如く鈍重でも無く)Obsoluteなチップのサポートもそれなりに情報提供してくれるのでNXP(ああ、今のFreescale系ではなく、元祖Philips系の方ね)の如き狂気に近いというか何考えてこんなチップ作りやがったんだろう的な変態チップは少ない気もします(まあ、ARM7,9E系では個性的な物もあったりなかったり)。無論、一個人の印象に過ぎませんが:)