aki_iic’s blog

己の欲せざる処人に施す事無かれ、狂人の真似するは即ち狂人なり

脳の若返り

 読売新聞の記事ですがまづは原典の理研のプレスリリースから引用します(一次文献にあたるのが筋なので)。

www.riken.jp

研究手法と成果

国際共同研究グループは先行研究で、加齢によって機能が低下したマウスの神経幹細胞を「若い状態」に戻す新たな手法iPaD(inducing Plagl2 and anti-Dyrk1a)を報告しました注2)。iPaDは、胎仔期の脳に強く発現する遺伝子(Plagl2)を活性化し、同時に老化神経幹細胞で強く発現している遺伝子(Dyrk1a)を抑制するよう設計された手法です。これらの遺伝子操作をレンチウイルス[7]を用いて神経幹細胞に導入することで、神経幹細胞の機能を保ちながら神経新生を活性化することが可能になります。本研究では、このiPaDをアルツハイマー病モデルマウスに適用し、神経新生の活性化が病態改善につながるかを検証するとともに、その仕組みの解明にも挑みました。具体的には、iPaDをアルツハイマー病モデルマウスの海馬に導入し、神経新生、アミロイドβ蓄積、認知機能への影響を段階的に解析しました。

まず、iPaDを海馬に導入したアルツハイマー病モデルマウスでは、神経幹細胞の活性化と新しい神経細胞の産生が顕著に促進されました。神経幹細胞から生み出される未成熟な神経細胞(DCX陽性細胞[8])の数を指標として評価したところ、iPaDを導入した群では、これらの細胞数が対照群と比較して有意に増加しました。特に、iPaD導入後4週、8週、12週のいずれの時点においても増加が確認され、時間が経過しても効果が持続することが示されました(図1)。

iPaDによる神経新生の活性化の図

図1 iPaDによる神経新生の活性化

  • A.5カ月齢のアルツハイマー病モデルマウス(神経新生の低下やアミロイドβの蓄積、認知機能低下が認められる時期)の海馬にiPaDを導入後、4週、8週、12週における未成熟な神経細胞(DCX陽性細胞)の代表的な画像(対照群およびiPaD群)。iPaD導入により、DCX陽性細胞(緑色に光っている細胞)の数が顕著に増加した。スケールバーは200マイクロメートル(μm、1μmは100万分の1メートル)。
  • B.iPaD導入後4週、8週、12週におけるDCX陽性細胞数の定量結果(対照群およびiPaD群)。iPaD導入後、4週、8週、12週いずれの時点においても、DCX陽性細胞数は有意に増加した。統計的有意差:*P<0.05、**P<0.01。

次に、iPaDによる神経新生の活性化が、アルツハイマー病の主要な病理であるアミロイドβの蓄積にどのような影響を与えるかを検討しました。アミロイドβは脳内に蓄積することで神経細胞の機能を障害し、認知機能低下の原因となるタンパク質です。

iPaDを導入したマウスの海馬組織を解析した結果、アミロイドβプラーク[2]の面積は対照群と比較して有意に減少しました(図2A)。特に、iPaD導入後12週では、約50%の減少が認められ、統計的にも有意な差が確認されました(図2B)。この効果は、神経新生が活発に起こっている領域だけでなく、周辺領域においても認められました(図2A)。

iPaDによるアミロイドβの蓄積抑制の図

図2 iPaDによるアミロイドβの蓄積抑制

  • A.5カ月齢のアルツハイマー病モデルマウスの海馬にiPaDを導入後、4週、8週、12週におけるアミロイドβプラークの代表的な画像(対照群およびiPaD群)。iPaD導入により、アミロイドβプラーク(点状に白く光っているところ)の蓄積が顕著に抑制された。
    Aβ:アミロイドβ、CA1:海馬CA1領域、CA3:海馬CA3領域、Hilus:ヒルス領域(歯状回門)、GCL:顆粒細胞層(神経新生が活発に起こっている領域)、ML:分子層。スケールバー:300マイクロメートル(μm、1μmは100万分の1メートル)。
  • B.iPaD導入後12週におけるアミロイドβプラーク面積の定量結果(対照群およびiPaD群)。iPaD導入後12週では、アミロイドβプラーク面積が約50%減少した。統計的有意差:***P<0.001。

従来の研究では、神経新生の促進だけではアミロイドβの蓄積を十分に抑制できないとされていましたが、本研究ではより強力な神経新生の活性化により、病理の改善が可能であることが示されました。

iPaDによる神経新生の活性化およびアミロイドβの減少が認知機能に与える影響を評価するため、空間記憶を測定するバーンズ迷路試験[9]をアルツハイマー病モデルマウスで実施しました。この試験では、マウスが複数の穴の中から記憶に基づいて正しい出口(ゴール)を見つけるまでの時間(到達時間)および移動距離を指標として解析しました。マウスの動きを追跡したところ、iPaD導入群は対照群と比較して効率よく目標地点に到達することを確認しました(図3A)。定量解析の結果、iPaD導入群では到達時間および移動距離がいずれも有意に短縮しました(図3B)。これらの結果から、iPaDによる神経新生の活性化は、空間記憶および学習能力の向上につながることが示されました。

引用おわり。

 アルツハイマーマウス見つけるのは大変だから擬似的なのか高齢マウスなのかで実験したのでしょうか。空間記憶および学習能力の向上・・・欲しいかもしれない(ネズミではなくて猫並の脳だけど:)。

 これを踏まえて読売の記事を読むに↓

www.yomiuri.co.jp

 アルツハイマー病のマウスを使い、この人工遺伝子を脳に注入した場合としなかった場合で、迷路でゴールに達するまでの時間と移動距離を比較した。すると、前者のマウスは、後者に比べて時間、距離ともに短く、認知機能や短期記憶が回復していることが確認できた。

引用おわり。

 一般向けに要約されているが科学技術の記事をまともに取材すればこの程度の記事には出来ると。

 月並みですがこの手の記事を見るとアルジャノンを想起させられる世代(飛ばし読みしかしてないのですが)加齢に伴う脳機能の低下は普遍のテーマではありましょうか(反芻)・・・