aki_iic’s blog

己の欲せざる処人に施す事無かれ、狂人の真似するは即ち狂人なり

日本のフィジカルAI 9の誤解

 日経XTECHの日経Roboticsの記事より(2026年7月号)

 理解りやすい指摘の様な・・・当方もそう思っていたりする(反芻)・・・

xtech.nikkei.com

日本のフィジカルAI 9の誤解

誤解1 「GAFAMが持っていない現場データが日本の勝ち筋になる」

(写真:gguy - stock.adobe.com)

 何をもって「現場データ」とするか次第だが、現場は日本だけに存在しているのではない。日本以外の国・地域にも現場データは無数に存在する。米国や中国にも産業は多くあり、欧州・アジアにもある。それらが皆、同様に現場データを持っている。ファストフードの厨房は世界中にある。トイレ掃除も世界中にある。物流の現場も世界中にある。農作業も世界中にある。「日本は特殊」という前提は一度捨てた方がよい。また、日本に強い現場があるのだとしても、それをフィジカルAIで使えるような形でデジタル化できなければ意味がない。「現場データが日本の勝ち筋」という言説は、フィジカルAIのような新市場・新技術に及び腰になりやすい日本の大企業に前向きな勇気を与える効果はあり、国内企業を鼓舞するスローガンとしては秀逸だが、言説の内容そのものは過度に楽観的に単純化されているといえる。

誤解2 「匠の技、職人芸をフィジカルAIにすることが日本の勝ち筋だ」

 フィジカルAIで実用化される順序としては、まず「多くの人間なら誰でもこなせるような低難易度のタスク・動作」から先に事業化・普及し、その後、かなり技術が進化した段階になって、ようやく「匠の技」をAI化できる、という流れとなる。米Meta PlatformsのMeta FAIRによるマルチモーダル基盤モデルの論文(https://arxiv.org/abs/2603.03276)の結果などを踏まえると、人間のegocentric動画など広範なマルチモーダルデータで事前学習させたフィジカルAIは「日本が強みの現場データ」がなくとも、将来的に「人間なら誰でもできるようなタスク」を、zero-shotやfew-shotでこなすようになる可能性がある。

 労働市場ではアルバイトやパートについて「未経験者OK」のようなタスク・仕事があふれており、現状ではフィジカルAIの技術水準が未成熟でロボットがこなすのは難しいことから、これらタスクは人間が実施しているが、ひとたびフィジカルAIが「ChatGPT moment」を迎えた暁には、職人技などのニッチなタスクよりも先に、まずは高度な知見が不要なアルバイト的なタスク(最近の流行語でいえば「タイミーさん」がこなすようなタスク)がロボット化され(しかもこちらの方が職人技よりボリュームは大きい)、そこでシェアを取ったベンダーが、稼いだ資金を強みに職人技・匠の技にも進出するという流れになるとみられる。このため、現在日本で流布している「職人技や匠の技をフィジカルAI化することが日本の勝ち筋」という言説はそもそも順序が逆である可能性が高く、基盤モデルの特性・定義をあまり正しく踏まえていないといえる。

誤解3 「フィジカルAIの波及は徐々に進む」

 確かに研究レベルでは地道な工夫を積み上げていくことで漸進的に改善が進む。しかし、フィジカルAIや大規模言語モデル・生成AIのような基盤モデルの社会的なインパクトは、技術水準がある閾値を超えた瞬間、突然増大する傾向が強い。つまり技術進化は漸進的でも、社会的インパクトは非連続に発生したように見えるのが、基盤モデルの性質である。それは、基盤モデルが、使える局面(状態)の分布の広さ、いわば「汎用さ」を指向しているAIだからである。大規模言語モデルでのChatGPT momentしかりだ。GPT-1の頃のように技術水準がこの閾値を超えるまではユーザー側がいくらPoCを重ねようともなかなか現場で使えず、製品としての付加価値も薄い。しかし、ひとたび閾値を超えると、広範な用途・産業に突然影響を及ぼす(実際に使えるかは安全性などの課題を乗り越える必要があるが、タスクとして技術的に可能になることは大きなインパクトである)。

 ディープラーニングが勃興した当初、CNN主流の時代に度々流布された「自社で現場データを集めてアノテーションし、ImageNetなどをfinetuningすると自社業務で使えるようになる」といった古いAIのイメージから一度離れる必要がある。基盤モデルというのは、幅広いタスクに再学習なしで、zero-shotやfew-shot、最小限の追加開発で適応できるモデルというのがそもそもの趣旨・定義であり、汎用性こそが核心である。ユーザーは往々にして自社のタスクにしか興味がなく、個別タスクの性能(縦方向)で基盤モデルを評価しがちだが、本質はこの幅の広さ(横方向)こそに価値がある。高さよりも横方向に広げることに腐心し、それで面積を稼ぎ、事業としての付加価値を出そうというのが基盤モデルの趣旨である。いちいち「我が社自慢の現場データ」でfinetuningしないと使い物にならないのでは、それはAIではあっても、基盤モデルではない。今世界がフィジカルAIに注目しているのは「物理空間で使えるAI」だからではない。「基盤モデルとしての性質を持ったAIが物理空間でも使える」と期待されているからだ。ひとたび、物理空間でフィジカルAIが基盤モデルとして実用化されたら、一部の非常に特殊な職人芸・難しいタスクを除けば、産業や用途を問わず、最小限の追加設定・構成で幅広い用途に使えるものになるはずだ。だからこそ、非連続な影響を社会に及ぼす。現状の生成AIも個別用途で見ると性能的な限界はあるものの、幅広い用途に個別開発もfinetuningもなしで役立っている。それと似たことだ。ディープラーニングが広まった5~10年ほど前、基盤モデル登場以前の頃と現在とでは、AIとしての性質が全く様変わりしているが、AIに詳しくない日本の大企業などではディープラーニング初期に言われていた言説を今もそのまま信じている傾向が強い。

引用おわり(一部引用)。

 当方の如き一般人が抱く「誤解」が解りやすく解説されている(勉強せんと:)印象。

#そういえばレトロマイコンボードの下敷きになっていたので今読み返し始めたところ(あはは)・・・

 前に書いた気もしますが今月(2026年7月号、P22〜25)号を発掘して読み始めた・・・今月号はボリュームある力作だから心して読まねば(目がちょっと辛いので休憩しつつ・・・)。

 当方の如き門外漢でも理解出来る様に解りやすく編集長様が執筆されているのでとても有り難い(感謝)・・・

#やはり紙の本も読まないと馬鹿になってしまう(元々アレだし・・・:)。