aki_iic’s blog

己の欲せざる処人に施す事無かれ、狂人の真似するは即ち狂人なり

日本経済新聞は特許制度が分かっていないかミスリードの意図が垣間見える

 スポンサー様のご意向に添うべくご活動中の日本経済新聞支那版の記事(無論、皮肉ですよ:)↓

www.nikkei.com

 日本経済新聞のこの記事を書いた人は特許制度を意図的にミスリードして情報操作(誰の為、そりゃスポンサー様のでしょ:)していると断定してしまおう。

 企業で特許出願をしたり、知財部門で出願処理に関わったり、個人でも何でも知財情報分析に御縁がある方なら理系文系問わず(実際、特許の事務処理は地味で機械的な作業故、文系女史の方が向いている:経験に基づく個人の感想です(涙):)、

1.特許出願と登録(権利化)は全く異なる。

2.WIPOが管理するのは国際出願(所謂PCT出願)のみで状況により異なるが全体の3割程度、大半はパリ条約に基づくパリルート出願である(国により異なる)。

3.登録(権利化)された特許はその内容で価値評価が必要(これが結構、難しい)。

 というのが業界関係者の常識なのだがこの記事を書いた記者さんは意図的にこの3点を無視或いは恣意的操作で結論ありき”中国様が大躍進!”と記事を書きたいのだろう(だ|な|ね)。ソフトに表現しても単なる馬鹿或いはおバカ或いは工作員(最近の日経記事に見られる:)と認定しよう。特許制度は複雑で説明も難しいのだが私なりに説明を試みるに:

1.特許出願件数と特許登録(権利化)件数は全く異なる。

 1.1.出願したから権利化される訳ではなく、特許庁の審査で権利化されるか否かが決まる。

 1.2.出願件数/登録件数は統計として公開されており、国別に分類した物が公開されている(下図参照)。

特許査定(権利化)率

出典:日本特許庁(JPO)から引用

https://www.jpo.go.jp/resources/report/nenji/2021/document/index/honpen0101.pdf

 着目頂きたいのは上図右の1−1−26図 特許査定率推移のグラフで米国、日本、韓国、欧州、中国の特許査定率である。

特許査定率 = 特許出願件数/特許登録件数 = 権利化率

 と大雑把に理解頂ければ宜しいかと思います。これを読み取るに

特許査定率(権利化率):

・米国 70〜77%

・日本 71〜74%

・韓国 60〜68%

・欧州 43〜63%

・中国 44〜56%(2019年時点で44.3%)

 であり、大雑把に言えば、

 米国、日本では出願の7割程度が登録(権利化)され、韓国では6割、欧州、中国では4〜5割(最近の傾向だと中国は4割程度)と言える。なので最初の記事に戻ると

1.WIPOの出願件数はパリルートが含まれていないので全体の3割程度しか示していない。これはWIPOの策略?ではなく国際出願と外国出願がそれぞれ機関が分かれており、それを集計する国際機関が存在しない為、別統計となっている(から、日経記者さんの情報操作に使いやすいのかもしれないね:)。

2.更に加えて出願だけでは権利化されず特許庁の審査を経て登録(権利化)されるが米国、日本は7割、欧州、中国では4〜5割しか権利化されない。つまり、

日経さんの記事は出願件数の3割程度に過ぎず、且つ(ここが重要)米日では7割、欧州中国では4〜5割が権利化率であるから、

1A:出願件数はWIPO(PCT)とパリルートの総和でないと比較出来ない(普通、知財部門では総和で統計するのがあたりまえ:)

2A:特許は権利化しないと意味がほぼ無いので米日で出願件数の7割、欧州中国では出願件数の4〜5割が実際の件数と言える。

 という基本的且つ重大な2つの過誤(瑕疵か否かは不明)をしていると言えると考えている。

 そういう訳で日経に限らずメディア様の記事には不正確な場合が少なからずうある(特に専門性が高い分野に不完全或いは偏った取材情報から作成された記事)には気をつけましょうねというお話でした。

 最近特に日経が何がなんでも支那推し記事が増加中なのがとても気になっている(出資元はどこだろうとか、目的な何かとか:)。。。

 まあ、この辺の件は業界関係者では毎度のフレーズなのでご承知の方も少なくないとは思いますが一応。