aki_iic’s blog

己の欲せざる処人に施す事無かれ、狂人の真似するは即ち狂人なり

緊急点検指示

 アラスカ航空のB737MAX9の側壁脱落事故の続報。緊急点検指示(EAD)の内容についてBoeingとFAAとの間で揉めてる模様で、航空会社に指示がまだ出ていないらしい。ロイターの記事:

jp.reuters.com

 そりゃ年始に重大インシデント(アクシデントレベルに思えるが死傷者無しだから重大インシデントなのだろう、多分)でEAD発行され、当初4〜8時間程度の点検時間と予想され航空会社も待機しているのに、調整難航とは例によってBoeingとFAAの見解の相違(Boeingは損失拡大防止の為に早期に点検終了させたい、FAAは何度目かのお手つきで責任問題に当然なるから点検項目を精査したい)が起きている模様。FAAにとっては下手すりゃ長官の責任問題にもなり兼ねない(監督官庁の度重なる失態の責任を取る意味で)ので点検内容に拘るのも当然とは言える。

 NTSBは調査中で何も言えないとし、肝心の脱落したドア含めた外壁はまだ回収されていないから調査に必要な要素がそろっていない。そもそも航空機事故調査はどんなに早くても数ヶ月、通常年単位の時間を要するのでNTSBの声明は当然で、米国メディアはそれを理解している筈(我が国の文系おバカメディア様とは異なる・・・筈:)。今回は犠牲者ゼロだから遺体調査等の作業が発生しない為、その点では外壁が見つかれば、調査は進行する可能性が高いが、設計要因なのか製造要因なのかに至ると当然年単位に近い時間とBoeingにとってはB737MAXへの度重なる信頼失墜は免れないだろう。

 直接的な関係は無いと信じるがBardさんにBoeingの1990年以降のCEOの経歴を尋ねてみた処:

就任年 CEO 経歴
1990 フランク・オード 1926年生まれ。1949年にボーイングに入社し、民間航空機部門でキャリアを積んだ。1975年にボーイング副社長、1983年にボーイング社長に就任。1990年にCEOに就任し、1997年まで務めた。
1997 フィル・カレン 1941年生まれ。1965年にボーイングに入社し、軍用機部門でキャリアを積んだ。1992年にボーイング副社長、1995年にボーイング社長に就任。1997年にCEOに就任し、2005年まで務めた。
2005 ジェームズ・マクナニー 1946年生まれ。1968年にボーイングに入社し、民間航空機部門でキャリアを積んだ。1995年にボーイング副社長、2001年にボーイング社長に就任。2005年にCEOに就任し、2010年まで務めた。
2010 ジェフ・イメルト 1956年生まれ。1982年にGEに入社し、GEの航空部門でキャリアを積んだ。2005年にGE副社長、2009年にGE社長に就任。2010年にボーイングCEOに就任し、2019年まで務めた。
2019 デニス・ミュレンバーグ 1950年生まれ。1974年にボーイングに入社し、民間航空機部門でキャリアを積んだ。2007年にボーイング副社長、2015年にボーイング社長に就任。2019年にCEOに就任したが、同年12月にエチオピア航空302便墜落事故の責任を取って解任された。
2020 デイヴィッド・カルフーン 1958年生まれ。1980年にボーイングに入社し、民間航空機部門でキャリアを積んだ。2015年にボーイング副社長、2019年にボーイング社長に就任。同年12月にCEOに就任し、2022年1月にデヴィッド・シェイファー氏にCEOを譲った。
2022 デヴィッド・シェイファー 1964年生まれ。1986年に米海軍兵学校を卒業後、米海軍で海軍航空士として勤務。その後、1991年にボーイングに入社し、民間航空機部門でサプライチェーンや調達などの業務に携わってきた。2019年には、ボーイング民間航空機部門のプロダクト開発および将来航空機を担当するサプライチェーン戦略のディレクターに就任し、将来の航空機製造システムにつながるサプライチェーンの開発・管理と業務改善などを牽引した。2022年1月にCEOに就任。

2024年1月現在、ボーイング社のCEOはデヴィッド・シェイファー氏です。シェイファー氏は、ボーイング社の安全性と信頼性の回復に取り組むとともに、将来の航空機製造システムの開発にも力を入れています。

 この情報が正しいのであれば現CEOはサプライチェーンが専門らしい。別段CEOが全知全能である必要など全く無いが、監督官庁と点検内容の調整という最初のステップでゴタゴタしてるのは如何にも最近の(上記年表からすると2019年以降の)Boeingらしいというのは偏見だろうか(ね)。

 アラスカ航空としてはA320をAirbusに返却してしまったからまたAirbus機をリースという訳にも行かないし、Boeingの面子(この辺だろうか?)が掛かっているから揉めてるのかもしれないが、無理の無い範囲で早期に解消される事が望ましいのだろう。

flyteam.jp

 とにかく事故調査の結果が待たれる。。。

20240109 0:21追記:胴体パネルの一部が発見された模様。

www.bloomberg.co.jp

 NTSBは徹底的にやるから全ての側壁材を回収するには時間が掛かるだろうが事故調査の重要な物証の回収が出来たのは進歩だが、

  NTSBのホメンディ委員長は7日のポートランドでの会見で、同機のコックピットに設置されたボイスレコーダーは録音時間が2時間しかなく、録音はすでに上書きされており重要なデータが失われたことを明らかにした。委員長はまた、過去のフライトで気圧に関する警告が何度か出た際のアラスカ航空の対応についても調査する予定だと説明した。

 CVRは上書きされ重要データ(事故直後か?)が失われている模様で、過去のフライトで気圧に関する警告が何度か出ているらしい・・・とど素人が妄想するのは控えて、専門家の調査結果を待つのが適切な対処であろう(ですよね:)。

 20240110 3:03追記:調査が進んでいる模様だが、ちと報道が早すぎる様な・・・

www.bloomberg.co.jp