WirelessWireの記事。大英帝国では専門医不足でAIを補助に使うらしい。
以下引用:
AIでの業務効率化というと製造業やサービス業の例が取り上げられがちですが、イギリスを始め欧州では、医療分野でもAIが現場で使われ始めています。
イギリスや欧州大陸の国々は、国民皆保険で国民健康保険があるために医療費は無料という国が多いのですが、国立病院が使える予算は限られているうえに高齢化が進んでいるので、現場は常に人不足で業務の効率化を強烈に進めています。
そのような効率化の一つの例として最近注目されたのが、イギリスの国立病院の「AI死亡計算機」です。これは「AI-ECG risk estimation」または「AIRE」と呼ばれるシステムで、インペリアル・カレッジ・ロンドンとインペリアル・カレッジ・ヘルスケアNHSトラストの研究者が開発し、研究結果がランセット・デジタル・ヘルスに掲載されました。
心電図(ECG)は、心臓の電気的活動をデータ化しますが、このシステムのAIモデルは、その情報を「読み」、電気信号のパターンを見るように訓練されています。AIの学習には、世界中の数百万の心電図データが使用されています。その結果、10年間の死亡リスクを最大78%の精度で正確に特定することが可能になったと報告されています。このAIは、心臓専門医よりも複雑なパターンを読み取ることが可能になったというのです。
さらに、腎臓や肝臓などの臓器に影響を与える糖尿病などの病気も心臓と心電図の状態に反映されるので、心電図を読み取ることで広範な健康状態の分析が可能になり、老化の状況も分析できるとされています。
2025年半ばまでに臨床試験を開始し、インペリアル・カレッジ・ヘルスケアNHSトラストとチェルシー・アンド・ウェストミンスター病院NHS財団トラストの病院で患者に対してモデルが実装されます。
つまり、実際の患者の死期をこのシステムで予測するということですが、イギリスの病院は専門医の数が限られており、サービス残業もありませんので、人不足をシステムで補い患者の状況を見て治療方針を決めたり医療資源をどう配分するか決定する、ということなのでしょう。イギリスの病院は治療に使われるお金が公費なので、患者の優先順位の振り分けをかなり厳密にやります。専門医の数は限られていますし、労働工数の管理も厳密なので、このようなシステムの需要はかなり高いでしょう。
日本も超高齢化が進んでおり、病院も働き方改革などでこれまでのように医師や医療関係者のボランティア労働に頼るわけには行きません。患者の優先順位の決定や医療資源の振り分けをこのようなシステムを導入して積極的に行っていくことも重要になるでしょう。また、このようなシステムはより正確な治療を行うための手助けにになります。
イギリスは日本に比べると、非常に大胆な医療の取り組みを行うことがありますが、これはやはり患者のデータが全国規模で共有されており、さらに世界中から様々な人種や国籍の患者が集まってくるという現実がその背景にあります。様々なデータが集まってくるので、医療系AIの開発に貢献しているという側面もあります。
引用おわり。AIの医療面での応用研究は古くは画像処理(ex.MRIやレントゲン)等昨今では無くてはならないのが現実だから当然の流れとも言えるし、リモートで遠隔地での診療も徐々にではあるが改善されているらしい。