5V系は死なずと残存者利益

 5V系のロジック素子が終息する中で大昔ゲルマニウムトランジスタの製造設備を買い漁って市場最後のGeトランジスタサプライヤーとしての残存者利益を主張した米国企業(ゲルマニウムパワーデバイスとか)をまともな報道をしてた頃のNHK電子立国で見たことがあるがあれから40年経過してハイエンドプロセッサは1Vを既に切りIOレベルも1.2だの1.8だので最大でも3.3VのIOレベルがローエンドでも当たり前になって久しい。

 とはいえ5V系の需要が皆無かと言えば必ずしもそうでは無いようで卑近な例ではUSB関連のVBUS側で技術的には5V以外のVBUSを規格化するのは可能だろうが上位/下位互換を慎重に策定しないと難しいだろうしそこまでして低圧化する必要性は今後のSerdes系というか高速インタフェース動向に寄るのだろう。他に5V系で残存している技術と鑑みるに車載系、産業系が考えられ実際少量ながら5V系インタフェース対応品は存在・製造されているように見える。

 その中で先端プロセスを享受してる関係かプログラマブルロジックはマイクロプロセサやメモリに続く先端プロセス導入で当然ながら3.3V IO以下であり低集積度プログラマブルロジックのCPLDもLatticeのLC4kの一部とMicrochip(旧Atmel)のATF15系ぐらいしか5V系プログラマブルロジックは供給されていないのでは?と認識している。まあその中にObsoluteになって久しいXilinxのXC9500(無印)も含まれるのだが(そういえばXC9500XLはどうなっているのだろうか?)前述のLC4kの一部も5V電源ではなく5VトレランとなのでXC9500XL相当と表現するのが正解なのかもしれないが。

 一方大昔の有名銘柄のチップ(日本企業製なり米国なり)の再生産台湾バージョンが多少なりとも供給されている様でこれは上述のGe Trの如き残存者利益ビジネスの変形版(EOL対応のバリエーションだろうか)が少なくとも台湾では商売として成り立っているらしい(商売上手な中華民族が儲からない商売続ける筈は無いからビジネスとして利益は出ているのだろう)。当初はリニアICや定番Trだったが次第に5V系スタンダートロジック(74系、4000系)も再生産されているように見える。

 長い長い前フリだったが5V系プログラマブルロジックもこの再生産モデルに適合する可能性は無いだろうかと妄想してみるに再生産を求めるユーザは長期稼働システムで代替困難(代替には莫大な工数が掛かる場合、代替技術が存在しない場合)故に再生産を求めオリジナルベンダでは不採算だが古い生産設備を買い取って再生産してくれるベンダが存在し且つビジネスとして成り立つのであればそれは可能だろうし先のTr,ICの事例からしても期待出来るのでは無いか。個人的にはXilinxのXC9500シリーズの出来ればPLCCバージョンを再生産してくれるベンダ(生い立ちからして台湾UMCか台湾内のどこかのベンダ)がもし実現するのであれば可能性が有りそうな気がしている。Altera(Intel)も似たようなものかもしれないが5V系CPLD切り捨てるのが早かったし商売に貢献しないとやる気も出ないのかもしれない。その一方でM&Aを繰り返して今や単なるPICマイコン一本槍のGIのスピンアウト末裔とは言えなくなった現Microchip社の旧Atmel部門が供給する5V系CPLDは5V系PLD含めて需要は有るのではと想像しており故に(自社Fabという好条件もあるのだろうが)ディスコンせずに残存者利益を享受しているのかもしれない。まあ長期供給の為に金に糸目を付けない顧客は政府か軍事用と相場が決まっているのでIBMの1Sフロッピーが長期供給された如く5V系プログラマブルロジックも保守用パーツ供給とごく一部の好事家の為に再生産の可能性があれば良いのにとも思う。

 まあ半導体は水物故安全保障の錦の御旗で追い風が吹いてるが風向きがいつ変わるかも嵐や暗闇がいつ訪れるかも分からないから与太話に過ぎないのだが。あえて批評をするならばIntelグローブ狂人のユーザ切り捨てモデルが蔓延してから半導体業界はより不健全に且つイノベーション停滞に陥ってしまったのかもしれない。Intelの中の人は「何で同じようなチップで殆ど性能向上も機能追加も無いチップを作らねばならないのだろう? アーキテクト不在の会社(=プロセスエンジニア天国)故の宿命なのだろうか。」等と考えているのであれば不幸としか言い様が無い。