aki_iic’s blog

己の欲せざる処人に施す事無かれ、狂人の真似するは即ち狂人なり

ノーベル賞

 サイエンスポータルより。

 医学賞の日本人受賞は2018年以来らしい。

scienceportal.jst.go.jp

 スウェーデンカロリンスカ研究所は6日、2025年のノーベル生理学・医学賞を、制御性T細胞を発見した大阪大学免疫学フロンティア研究センターの坂口志文特任教授(74)と、米システム生物学研究所のメアリー・E・ブランコウ博士、米ソノマ・バイオセラピューティクス社のフレッド・ラムズデル博士の3氏に授与すると発表した。制御性T細胞による免疫の働きは、がん治療や自己免疫疾患の治療に役立つことが期待される。日本人の生理学・医学賞は2018年の本庶佑氏以来6人目。

今回免疫に関する成果で受賞が決まった坂口志文・阪大特任教授(右)と、メアリー・E・ブランコウ氏(左)、フレッド・ラムズデル氏(ニクラス・エルメヘード氏、ノーベル財団提供)
今回免疫に関する成果で受賞が決まった坂口志文・阪大特任教授(右)と、メアリー・E・ブランコウ氏(左)、フレッド・ラムズデル氏(ニクラス・エルメヘード氏、ノーベル財団提供)

 私たちの体は日々多くの微生物の侵入を免疫の働きによって阻止している。だが、免疫システムは何を攻撃し、何を守るべきかをどう判断しているのか分かっていなかった。坂口氏らが発見した制御性T細胞の働きは「免疫システムの警備員」として免疫を制御していた。

 ヒトの体には、微生物を検知して他の免疫細胞に警告する働きを持つ免疫細胞のT細胞が存在している。1980年代当時、免疫システムは胸腺の中枢性免疫寛容という仕組みで、自己抗原を異物として認識する有害な免疫細胞を排除すると考えられていた。しかし95年、坂口氏は胸腺を切除したマウスに他のマウスから培養したT細胞を注入したところ、自己免疫疾患を発症しないことを実験で明らかにし、従来考えられたシステム以外にも免疫システムがあることを発見した。

坂口氏が実施した実験(ノーベル財団提供の図版の図中文字を編集部が和訳)
坂口氏が実施した実験(ノーベル財団提供の図版の図中文字を編集部が和訳)

 一方、ブランコウ氏とラムズデル氏は2001年、特定の遺伝子の系統を受け継ぐマウスに自己免疫疾患が多いことを発見。全ゲノム解析で詳しく調べると、Foxp3という遺伝子に変異があることが分かった。この遺伝子変異は、ヒトにおいてもIPEX症候群という遺伝性症候群を発症していることが判明した。

 そして、坂口氏はこのFoxp3遺伝子が制御性T細胞の発達をコントロールしていることを発見。制御性T細胞は異物を排除した後は、暴走を防いで落ち着くという一連の流れも分かった。

 カロリンスカ研究所は「免疫系がどのように制御され、抑制されているかの基礎的な発見をし、がんや自己免疫疾患などの新しい治療法の開発を進めた」などと評価した。がん免疫療法や臓器移植における拒絶反応の治療法の確立につながるとされる。

 T細胞には免疫応答を起こすものと、免疫反応を抑えるものの2種類が存在する。免疫応答が強いと自己免疫疾患やアレルギーを起こし、免疫反応が抑えられるとがんになる。今回の発見まで両者を識別することは困難だった。このバランスが明らかになったことで、治療法に道が開けた。この成果を基にして、2016年には制御性T細胞の英名を使った「レグセル社」が設立され、坂口氏もメンバーの一員として創薬に取り組んできた。

引用おわり。

 専門サイトだけあってメディアの報道より分かりやすく、教育機関のそれよりも一般向けで解りやすい。

 平和賞は政治枠だから別物でしょうけどノーベル賞は科学技術や文化等の地味な研究や活動の積み上げを財団が評価するものであって(以下略・・・無粋なので)。

 

20251007 20:52追記:物理学賞は量子コンピュータの基礎技術らしい。

www.bloomberg.co.jp

スウェーデン王立科学アカデミーは7日、今年のノーベル物理学賞に、カリフォルニア大学のジョン・クラーク氏、ミシェル・デボレ氏、ジョン・マルティニス氏の3人が選ばれたと発表した。

  3氏は、「電気回路における量子トンネル効果と、エネルギーの量子化の発見」により、量子コンピューターの基礎技術の研究に貢献した。選考委員会は、量子暗号、量子コンピューター、量子センサーなど、次世代の量子技術の開発に新たな可能性をもたらすとしている。

  3氏は、賞金1100万スウェーデン・クローナ(約1億7700万円)を共同で受け取る。

引用おわり。

 やはり量子コンピュータといった応用分野ではなく基礎研究技術が対象でありました。まだまだ量子コンピュータ超電導であれ、量子アニーニングであれ)の実用化は課題山積であろうからn十年先でしょうか。まあ、ノイマンマシンの置き換えでも無さそうだからポジションが定まっていない印象(私見)。

 

20251008 21:03追記:化学賞を日本人研究者が受賞。

www.afpbb.com

【10月8日 AFP】2025年のノーベル化学賞は、京都大学の北川進氏、メルボルン大学のリチャード・ロブソン氏、カリフォルニア大学バークレー校のオマール・M・ヤギ氏の3人に授与されることが8日、発表された。金属有機構造体(MOF)の開発における先駆的な研究が評価された。

審査委員会は、この構造体について、「砂漠の空気から水を取り出したり、二酸化炭素を捕集したり、有害ガスを貯蔵したり、化学反応を触媒したりすることに利用できる」と説明し、さまざまな問題解決への応用が期待されるとした。(c)AFP

https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/inline-files/25-kitagawa-research-b44d274b6ea9760a96722cdbcca20b8b.pdf

ノーベル化学賞(2025年)

 金属有機構造体に関する研究の様で配位結合を利用して多孔性配位高分子を開発され、触媒等の応用が期待されるとの事(すみません、パクリ引用で:)。

今年は関西勢の受賞が多い様な印象(それも基礎研究、材料研究)。

www.youtube.com

 

20251010 10:39追記:AFPの記事より。化学賞受賞者の米国人はパレスチナ難民の子孫らしい。米国らしいというか夢を実現出来た(過去形にならぬ様、祈ります)偉大な合衆国(だが、大統領はそうではない)だったのだろう(過去形・・・)。

www.afpbb.com

【10月9日 AFP】2025年のノーベル化学賞受賞者の一人、米カリフォルニア大学バークレー校のオマール・M・ヤギ氏は、ヨルダンでパレスチナ難民の子として生まれた。幼少期は「騒がしい大家族」の中で、飼っていた牛と一部屋を共有する静かで勉強熱心な子どもだったという。

受賞会見に臨んだヤギ氏は、そのような人生の歩みがあったからこそ、ノーベル賞受賞のニュースはひときわ感慨深いものとなったと述べ、また自身を育んだ米国の公立の教育システムを称賛した。

会見でヤギ氏は、ドナルド・トランプ米大統領国内の大学支援の長年の財源構造を見直そうとしていることに言及し、公的資金による教育と研究が自身のキャリアにおいて重要な役割を果たしたと強調。

「今回の受賞は、私のように恵まれない環境や難民としての背景を持つ人々でも、公立学校で努力を重ね、自分を際立たせることができる――米国公立教育の力の証」と話した。

両親については「子どもたちとその教育にすべての時間を捧げた」と説明し、それを困難な状況から家族を引き上げる方法と見ていたと述べた。

家には電気も水道もなく、父親は6年生までしか学校教育を受けられず、母親は読み書きができなかったという。「私たちは他の多くの人が享受しているような便利さはあまりなかった。しかし、愛情と気遣いには恵まれていた」と続けた。

ヤギ氏は、日本の北川進氏と英国生まれのリチャード・ロブソン氏とともに、金属有機構造体(MOF)に関する画期的な研究で2025年の賞を受賞した。MOFは、二酸化炭素の捕捉や砂漠の空気からの水の収集など、さまざまな応用が期待されている。

1965年生まれのヤギ氏は、幼少期をヨルダンのアンマンで過ごし、15歳で米国に移住した。厳格な父親が息子に成功の機会を見出し、移住を勧めた。当時すでに、本で見つけた「理解不能だが魅力的な」画像に惹かれ、分子構造に夢中になっていたという。

「それが分子であることを知る前に、私はそれらに恋をしました」

ニューヨーク州北部のコミュニティカレッジに入学し、ニューヨーク州立大学オールバニ校で学位を取得。食料品を袋詰めしたり床を掃除したりして自活しながら学業に励んだ。その後、1990年にイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校で博士号を取得し、いくつかの米国大学を経て2012年にバークレー校に着任した。(c)AFP

引用おわり。

 これだけで映画になりそうな内容でありました。古き善き時代の偉大な合衆国の地道な研究と努力によるアメリカンドリームの実現でありました(感動)。

 翻って・・・これ以上は申しますまい(以下略)。