aki_iic’s blog

己の欲せざる処人に施す事無かれ、狂人の真似するは即ち狂人なり

自律運行

航空機のオートパイロットはレシプロ機の時代から存在し(それなら航海技術は?とかツッコミを受けそうですが;)狭っ苦しい地べたを高々100km程度で移動する自動車なる分野における自動運転(それも運転手付きの)が中々実用化しないのに対して、3次元空間を比較的余裕のある空間体積で移動可能な航空機分野に於いては自動化の次の段階としての自律運行(UAVとはペイロードたる人間と運行主体たる人間が搭乗する点が異なる)が昨今の技術の進歩で予想以上に進んでいるとの専門家さんの翻訳記事:

aviation-space-business.blogspot.com

 上記自動車の自動運転への揶揄は当業者の方々には失礼かもしれない(すいません)が、何でも出来る夢の技術を今直ぐにでも実現する・・・と宣伝したメディア様や評論家に浴びせる批判としては適切かもしれない。昔未来学とかいうインチキが流行った頃があったが未来学=詐欺の手口の一つと個人的には理解している(科学的知見に欠ける、エセ科学者モドキが多かったしね、ダイソン環天体とか、カッパブックスの世界だな:)。

 それらとは異なり現実の先端技術開発分野としての自律航行の進歩が少なくとも軍用機レベル(リスクを許容出来る範囲の自由度、というか)では実用化の目処が付き始めている模様。まあ、L1011の時代からカテゴリー3の自動着陸は可能だった訳ですが上記記事はそれらとは異なる次元の1人乗務員を実現(或いはAIパイロット支援による戦闘能力向上)とするものらしい(以下引用):

KC-135タンカーとC-130輸送機を自律飛行させる契約を空軍と結んでいるスタートアップと、DARPAドッグファイト・プログラムで活躍するAIパイロットを生み出したスタートアップ。この二社が力を合わせようとしている。

 ボストンを拠点とするマーリン・ラボは先週、カリフォルニアを拠点とするEpiSciを買収すると発表した。EpiSciのAIは先月、フランク・ケンドール空軍長官をF-16で飛行させ、注目を集めた。

 EpiSciとそのサブ企業PhysicsAIは、AI戦闘機パイロットを開発するDARPAの取り組みの3つの章(2020年AlphaDogfight Trials、2020-24 Air Combat Evolution Program、そして先週の時点ではArtificial Intelligence Reinforcements program)すべてに参加している唯一のチームだ。ケンドール長官のフライトでAIエージェントを作動させた4社のうち、EpiSciの、自社のものが "最も信頼され、最高のパフォーマンスを発揮した "とボー・リュウCEOが述べた。

 独自にAIパイロットを製造するマーリンは、来年中に空軍のKC-135タンカーに搭載してテストする予定だとマット・ジョージCEOは語った。この "コア"パイロットによって、空軍はパイロットを1人に減らすことができ、多くの航空機乗務員を解放することができる。

 EpiSci社との契約が今後2~3ヶ月の間に予定通り完了すれば、マーリンはコアパイロットにF-16の資格などの高度なスキルを追加できるようになる。そうなれば、同社はさまざまな種類の任務をこなすAIパイロットを提供する最初の企業となるだろう、とジョージは語った。

 2月、マーリンはKC-135でAIパイロットのデモを行う契約を空軍と結んだ。先週、同社はC-130輸送機にAIパイロットを搭載する1億500万ドルの契約を獲得したばかりだ。同社は今後数カ月でKC-135の作業を開始し、来年には自律システムを搭載した航空機を飛行させる予定だとジョージは語った。その後、C-130のテストに移る。

 「ロッキード・マーチンノースロップ、あるいは他の大手プライム企業各社が行うことは素晴らしいが、最終的には我々のような企業が、より伝統的なプラットフォーム構造、サービス、インフラを補完することができる真の自律性を提供できるようになる」とジョージは語った。

 (赤文字:わたし)なるほど、プライムコンストラクタは各社技術開発に専念し、自律運行に関わるコア技術は非航空機ベンダ(メーカと言えるかも疑問符)が担当するようになるというのはポジショントークも含まれるかもしれないが、ペンタゴンにとっては各社各様のAIパイロットの面倒なんて見きれないし、利害関係の枠から距離を置いたアビオニクスというかサブシステムというかベンダが担当してくれるのであれば、総合的にみて新機種開発効率は劇的に向上するだろうし、モノリシックな航空機システムというフレームワークからの脱却が求められている(費用的にも時間的にも敵:分かりますよね?:との競争に於いても)点から、自然な流れなのだろう。

 上手く進むと良いですね(期待)。。。